2017年05月26日
【第9弾】「プロダクトデザイン」と「プロダクトのデザイン」??

日本において「プロダクトデザイナー」と呼ばれる方、または名乗っておられる方は星の数ほどおられます。
一方、デザインの本場、ヨーロッパにおきましても「プロダクトデザイナー」は星の数ほどおられます。
しかし、その違いは歴然たるものです。
日本の「プロダクトデザイナー」は、『モノのデザインをするデザイナー』‥‥こんな意味合いが色濃くあるように思います。
要は、「商品設計」まで出来る「プロダクトデザイナー」が少なく、モノのデザインはするが、あとの商品設計はメーカー任せ‥‥‥‥このようになっているのが現状です。
一方、ヨーロッパの「プロダクトデザイナー」は、モノのデザイン‥‥そして商品設計までを一貫して行います。
たとえ自身が商品設計しなくても、「デザイン→商品設計」のプロセスは一元管理・監修をし、自身の責任下においてアウトプットをする‥‥‥というのが一般的です。
では何故?このような違いが生じたのでしょう?
これは戦後70年以上続いて来た日本の産業構造・分業体制に起因していると考えます。
日本の産業構造はピラミッド型‥‥‥大手企業があって、その下には中堅企業の下請けがあり、その下には中小企業の孫請けがある‥‥‥‥このような産業構造です。
そして特に戦後間もなくモノが無い時代‥‥‥大手メーカー主導により、様々なモノづくりが展開されて来ました。
プロダクトデザイナーもその枠組みの1つとして、活動する事を余儀なくされます。
例えば、自動車メーカーであれ、家電メーカーであれ、外部内部に関わらず、プロダクトデザイナー達は、メーカーに入り込み、そのメーカーの製品をデザインする事になります。
そして、デザインアップ後の商品設計は、「開発部」「設計部」「製造部」のような部署に回され、直接プロダクトデザイナー達が商品設計には携らず製品化が進む‥‥‥‥このような分業体制により多くの製品は生まれて来たのです。
この分業体制によるメーカー主導型のモノづくりは、自動車、家電に限らず、あらゆる日本のモノづくりにおいて踏襲され、今日まで「メイド イン ジャパン」を創り続けています。
中小メーカーにおいても同様で、自社商品を開発する場合、まず商品デザインを社内外に問わずデザイナーに依頼する‥‥‥‥仕上がったデザインは、自社の設計部門で商品設計を行い、製品化する‥‥‥このような流れが一般的です。
ここでも「プロダクトデザイナー」達は、商品設計をする機会が殆どありません。
このように、70年にも及ぶ日本のモノづくりの産業構造・分業体制において「商品設計」という需要が、プロダクトデザイナー達に無かった事‥‥‥‥これが「真のプロダクトデザイナー」が育って来なかった大きな原因だったと考えています。
一方、ヨーロッパのモノづくりは「プロダクトデザイナー」主導型です。
プロダクトデザイナーは、商品のデザイン・設計をし、それを生産してくれるメーカーをリサーチして製品化してもらう‥‥‥‥モノづくりを任せる?任せない?の決定はプロダクトデザイナーの手の内にある訳です。
ヨーロッパの多くのモノづくりはこの手順を踏んでいます。
従って、プロダクトデザイナー主導型が可能になるという訳です。
日用雑貨の小売店に行っても、様々な色彩色豊かな‥‥目を引くようなデザインの商品が並んでいます。
そしてそこには、「プロダクトデザイナー」のプロフィール写真があるのが一般的です。
こういうプロダクトデザイナーが、こういうコンセプトのもと作られた商品です‥‥‥‥このような事が書かれているのです。
そして消費者達は、様々なデザイン性やコンセプトの異なる商品の中から、自身の感性に合った商品を購入する事が出来ます‥‥‥‥
これが「メイド イン ユーロ」です。
そして、このプロダクトデザイナー主導のモノづくりこそ、成熟した市場においては、メーカー・消費者ともに折り合いが付いているモノづくりだと考えます。
デザイナー同士の個性のぶつかり合いはあっても、日本のようにメーカーが、変に安売り合戦をしている訳でも無く、其々の商品には、主張を持った価格が表示されています。
消費者は、其々の商品のデザイン性、機能性、そして価格を考慮して、納得すれば購入をする‥‥‥‥これだけの事です。
大量生産、大量消費時代はとっくに終焉を迎えています。
そして、モノづくりは、最早、日本だけではなく、どこでも出来る時代です。
ましてや価格競争になれば、後進国には到底及びません。
その昔、日本も先進国に追いつき追い越せ‥‥‥‥このような時代背景の中、他国商品を模倣改良し、よりコンパクトで性能に優れ、そしてリーズナブルに‥‥‥‥このようなモノづくりを追求し、世界に名だたる「メイド イン ジャパン」を確立しました。
そして現代、後進国の方々が日本に追いつき追い越せ‥‥‥このようなマインドを持って成長を続けています。
そこで、日本に「一日の長」があるとすると、やはり「デザイン性」です。
形は真似が出来ても本質的なデザインは真似をする事は困難です。
悠久の歴史や文化から生み出されるヨーロッパ独特の色合い・デザインは誰もが真似が出来ないように、日本の歴史や文化を背景にしたデザインは誰しもが真似を出来る訳ではありません。
そして‥‥‥‥‥そのデザインを形にする「商品設計」‥‥ここまでをデザイナーの方々が手掛ける事で、デザイナー主導型のモノづくりとなり、私達が今までに見た事ない日本独特の色合いやデザインの商品を手にする事が出来るようになる訳です。
この新しいモノづくりは私達の生活に彩りと豊かさをもたらせてくれる事でしょう。
ヨーロッパにおける「プロダクトデザイナー」の地位はある意味、メーカーより上です。
日本の場合、メーカーとデザイナーは受発注の関係もあり、どうしてもメーカーが上になってしまいます。
しかも、商品設計もメーカーが行うという事であれば、メーカーの今までの経験値、論理、過去のデータ、投資、価格競争などから、とんがったデザインは削ぎ落とされ、無難な商品になってしまうのがオチです。
このモノづくりを続けていたのでは、メーカーは自身の首を絞める事になり兼ねませんし、その下請けは疲弊するだけです。
そして‥‥‥‥‥一番の被害は私達消費者です。
私達は、今まで目にした事がありませんので、現市場に並んでいる商品群が当たり前だと思っています。
しかし、真のプロダクトデザイナー主導のモノづくりが発展すれば、今まで目にした事なない、独創性に溢れた商品、また、日本の歴史を感じるノスタルジックな商品など、様々なデザイナーの商品が市場を埋め尽くします。
私達消費者はその中から、自身の感性に合った商品を手にする事が出来るのです。
想像するだけでワクワクしませんか?
先般、上述の話しを経済産業省でして来ました。
「どこかの教授も同じ話しをされていた‥‥」という事でしたので、経産省も少なからず、気付いているようでした。
今後は政府・行政や関係者による「真のプロダクトデザイナー」の創出・育成プログラムを加速的に進める‥‥‥‥そしてデザイナー主導型によるモノづくり‥‥‥‥これが、「メイド イン ジャパン」をワンランク上に引き上げる事になり、日本を支える中小零細企業メーカーを活性化させ、最終的には、私達消費者の暮らしに彩りと豊かさを与える事に繋がると考えます。
これが成熟した市場における、新しいモノづくりの在り方だと思うのです。
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